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1 会社更生

(2)いかなる場合に会社更生を行うか

(イ) 再建か清算か
倒産処理方法には再建型と清算型の二種類があることは先に述べたとおりですが、会社更生は、再建型の倒産処理方法です。
よって、会社更生を検討するにあたっては、財務状況にかんがみて、会社を再建することが可能な状況であるのか、清算せざるを得ない状況なのかを見極める必要があります。この点の判断方法については、前記(第1 倒産総論 3再建型、清算型を見極める財務分析)のとおりです。その他、会社を清算した場合の社会的影響の大きさ、子会社の倒産の場合には清算がグループ全体に及ぼす影響などを考慮して、倒産処理方針を決する必要があります。
(ロ) 会社更生か民事再生か
会社を再建するという方針が決定した場合、法的な会社再建手続の選択肢として、会社更生と民事再生の二つがあり、状況に応じて適切な方法を選択する必要があります。
このうち、一般に比較的多く用いられる方法は民事再生ですが、大規模な会社の倒産処理の局面では、会社更生が用いられることも少なくありません。また、近時は中小企業であっても、会社更生を行うケースもあります。
以下では、民事再生との比較を中心に、会社更生手続を選択するポイントを説明します。
(a) 会社の形態
まず、会社更生手続を利用できるのは株式会社のみです。よって、他の種類の会社や法人、個人が法的手続による再建を目指す場合には、民事再生を選択することになります。
(b) 担保権実行の制限
民事再生の場合は、抵当権等の担保権は別除権とされ、原則として再生手続と関係なく、担保権の実行(競売申立て等)をすることができます。よって、大口の債権を有する担保権者の理解が得られず、担保権の実行が強行された場合、会社の再建が非常に困難になります。
これに対し、会社更生では、担保権者も更生担保権者として、更生手続に拘束されます(会社更生法第47条第1項)。すなわち、更生手続開始決定がなされれば、実行中の競売手続等は中止され、以後の担保権の実行は禁止されます(会社更生法第50条第1項)。また、更生担保権も更生手続によって減免の対象になります。
(c) 経営者の退陣
会社更生手続においては、会社財産の管理処分権は、裁判所が選任する更生管財人に移ります。経営責任のない経営者については更生管財人として選任されうることとされていますが、会社を倒産状態に至らせた経営陣はその責任を問われ、退陣せざるを得ません。
この点、民事再生においては、経営陣が引き続き経営を行うのが原則です。よって、法的手続においては、経営者の経営権は維持されます。しかし、実際には、民事再生手続を選択しても、株主等の間で経営者の責任を問う声が高まり、退陣せざるをえない場面があることは言うまでもありません。
(d) 時間と費用
会社更生手続は、債権者のみならずすべての利害関係人を手続に取り込み、会社の役員、資本構成、組織変更まで含んだ抜本的な再建計画の策定が可能な手続です。
その反面、手続が複雑かつ厳格であり、時間、費用共に、民事再生の場合よりもかなり多くを費やさざるを得ない傾向にあります。具体的な運用は、個々の事案の複雑性や各裁判所によって異なりますが、一般に民事再生手続では申立てから再生計画の認可まで半年程度で済む場合も少なくないのに対し、会社更生手続の場合は更生計画の認可まで数年を要するケースが多いのが現状です(もっとも、後述のとおり、近時は会社更生手続の迅速化が図られています。