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2 特別清算

(2)いかなる場合に特別清算を行うか

(イ) 特別清算のメリット
特別清算は、清算型の倒産処理でありながら、破産ほど手続が厳格でなく、簡易、迅速に会社を清算できるという利点があります。
また、破産の場合は会社の財産の管理処分権限は裁判所の選任する破産管財人に移ってしまうのに対し、特別清算の場合は、会社が選任した清算人が財産の管理処分を行うことができるという利点もあります。
加えて、特別清算も破産と同様、会社を消滅させ、清算する手続であるにもかかわらず、一般的に、特別清算には比較的「倒産」というイメージが薄いと言われています。
よって、たとえば、親会社が不採算の子会社を消滅させたい場合に、破産手続を実施すると、社会的なインパクトが大きく、グループ全体の信用を損なう結果になる場合があります。そこで、特別清算を選択することで、グループ全体のイメージダウンを最小限に食い止めるというケースが散見されます。
(ロ) 特別清算のデメリット
特別清算手続を選択する上での最大の障害は、そもそもこの手続を利用できる場合が限定されているということです。
すなわち、上述のとおり、特別清算手続を実施する前提として株式会社を解散する必要があるところ、株式会社の解散には株主総会の特別決議、つまり総議決権の過半数の出席および出席した株主の議決権数の3分の2以上の賛成が必要です(会社法第309条第2項第11号)。よって、完全子会社の場合(または親会社が子会社株式の大半を保有している場合)や、いわゆる同族会社の場合でない限り、解散決議を可決させるのは容易ではありません。
また、株主の同意により解散までは漕ぎ着けたとしても、特別清算手続を実施するには、債権者に対する弁済計画である協定案に対し、債権額の3分の2以上の同意等が必要です(会社法第567条)。この協定案が否決されれば、結局破産を選択せざるを得ないことになります。特別清算は破産と異なり、強制的な清算手段ではなく、債権者の同意の上にはじめて成り立つ手続なのです。
このような手続上のデメリットに加え、特別清算においては、破産の場合の管財人に認められる否認権(1破産、(4)手続の概要、(ヲ)参照)と同様の制度がないことから、清算手続内で偏頗弁済や財産減少行為の効力を否定することができないという欠点もあります。同様に、債権確定の制度(1破産、(4)手続の概要、(ヌ)参照)もありませんので、債権を迅速に確定することも困難です。このように、債権の存否などにつき争いがあるケースは、特別清算手続には適さないことになります。
(ハ) 特別清算手続活用のスキーム
このように、特別清算は破産よりも簡易・迅速で、倒産のイメージが薄いというメリットがある一方、その利用には困難が伴います。
そこで、特別清算の活用方法の一例として、親会社が特別清算により子会社を整理する場合の、典型的なスキームをご紹介します。
まず、子会社の場合、株式は親会社がその大半を所有していますから、解散決議を成立させるのは容易です。
残された問題は、協定案に対する債権者の同意ですが、特別清算手続開始前に、親会社が子会社の肩代わりをして全ての債務を弁済するか、親会社がすべての債権を買い取るなどしておきます。こうすれば、子会社に対する債権者は親会社のみである状況を作ることができますので、協定案は当然可決されます。
このような手法を採用することで、親会社が子会社の債務を負担することにはなりますが、取引先(債権者)の権利を害さず、グループ全体の信用を維持しながら、子会社を整理することができるのです。なお、この子会社整理方法は、後述のとおり税務上の損金処理においても利点があります。