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2 特別清算

(4)手続の概要

(イ) 株主総会の解散決議、清算人選任決議
株主総会決議により株式会社を解散するには、総議決権の過半数の出席と、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です(会社法第309条第2項第11号)。
取締役は当然に清算人に就任しますが(会社法第478条第1項第1号)、株主総会決議で別の清算人を選任することもできます(同項第3号)。清算人は、清算株式会社の現務の結了、債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の分配を行います(会社法第481条)。なお、清算人は必ず置かなければなりませんが、清算人が複数いる場合でも、監査役会設置会社でない限り、清算人会は必ずしも設置する必要はありません(会社法第477条)。
(ロ) 清算財産目録及び清算貸借対照表に対する株主総会承認決議
清算人は、就任後遅滞なく、解散時における清算株式会社の財産目録および貸借対照表を作成し(会社法第492条第1項、会社法施行規則第144条及び第145条)、これに対する株主総会の承認を得る必要があります(会社法第492条第3項)。
(ハ) 債権者に対する公告及び催告
清算人は、会社債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を、官報に公告するとともに、知れたる債権者に対しては各別に催告(通知)する必要があります。なお、債権申出の期間は2ヶ月を下回ることができません(会社法第499条第1項)。
(ニ) 特別清算開始の申立て
債権者、清算人、監査役又は株主は、特別清算開始の申立てをすることができます(会社法第511条第1項)。なお、清算株式会社に債務超過の疑いがあるときは、清算人はこの申立てをする義務があります(同条第2項)。
(ホ) 特別清算開始の命令
特別清算開始の申立てがあった場合、裁判所は、特別清算開始原因、すなわち清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること(会社法第510条第1号)、債務超過の疑いがあること(同条第2号)のいずれかが認められれば、特別清算開始の命令をします。
ただし、特別清算の手続の費用の予納がないとき(会社法第514条第1号)、特別清算によっても清算を結了する見込がないことが明らかであるとき(同条第2号)、特別清算によることが債権者の一般の利益に反することが明らかであるとき(同条第3号)、不当な目的で特別清算開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき(同条第4号)には、申立てが却下されます。
なお、特別清算開始の命令に不服があるときは、清算株式会社に限り即時抗告をすることができます(会社法第890条第4項)。特別清算開始の申立てを却下した裁判に不服があるときは、特別清算の申立人に限り、即時抗告をすることができます(同条第5項)。
(ヘ) 第一回債権者集会
特別清算開始の命令があった場合、清算人は、清算株式会社の財産の現況についての調査をして財産目録等を作成した後、遅滞なく債権者集会を招集し、債権者集会に対し、清算株式会社の業務及び財産の状況の調査の結果並びに財産目録等の要旨を報告するとともに、清算の実行の方針及び見込みに関して意見を述べなければなりません(会社法第562条本文)。
ただし、債権者集会に対する報告及び意見の陳述以外の方法によりその報告すべき事項及び当該意見の内容を債権者に周知させることが適当であると認めるときは、この限りではありません(同条ただし書)。先述した親会社による子会社整理のスキームにより、親会社のみが債権者となっているケースは、これに該当するでしょう。
(ト) 協定案の作成及び提出
清算株式会社は、債権者集会に対し、協定の申出をすることができます(会社法第563条)。協定においては、協定債権者の権利(特別の先取特権、質権、抵当権、代理商の留置権、商事留置権を除く)の全部又は一部の変更に関する条項を定めなければならず(会社法第564条第1項)、この条項においては、債務の減免、期限の猶予その他の権利の変更の一般的基準を定めなければなりません(同条第2項)。
なお、先述した親会社による子会社整理のスキームにより、親会社のみが債権者となっているケースでは、親会社と子会社の間で個別和解を成立させれば協定と同じ効果が得られますので、協定案の作成及び提出、債権者集会での可決、裁判所の認可という手続は不要になります。
(チ) 第二回債権者集会(協定の採決)
清算株式会社は、前項で作成した協定案を可決するため、再度債権者集会を開催します。出席した議決権者の過半数かつ議決権者の議決権の総額の3分の2以上の議決権を有する者の同意が得られれば、協定は可決されます(会社法第567条)。他方、ここで債権者の同意が得られず、破産原因が認められる場合は、破産手続に移行することになります(会社法第574条第2項第1号)。
(リ) 裁判所による協定認可決定
協定が債権者集会で可決されたとき、清算株式会社は、遅滞なく、裁判所に対し、協定の認可の申立てをしなければなりません(会社法第568条)。この申立てがあった場合、裁判所は、法定の不認可事由(会社法第569条第2項)に該当しない限り、協定の認可の決定をします(同条第1項)。不認可の決定がなされた場合は、債権者集会で協定が否決された場合と同様、破産原因があれば破産手続に移行することになります(会社法第574条第2項第2号)。
(ヌ) 弁済
協定の認可の決定が確定すると、協定は法的効力を生じ、清算株式会社及びすべての協定債権者のためにその効力を有します(会社法第570条、第571条第1項)。清算株式会社は、この協定に従って弁済を行います。
(ル) 特別清算終結決定
裁判所は、特別清算が結了したとき又は特別清算の必要がなくなったときは、特別清算終結の決定をします(会社法第573条)。この決定が確定すると、職権で特別清算終結の登記がなされ(会社法第938条第1項第3号)、会社は消滅します。